ネパールで暮らし始めて驚いたことのひとつは、一家の大黒柱や若者が外国で仕事をしている家庭が多いことでした。今日はネパールのお仕事事情について少しご紹介します。日本とまるで様子が違うことにびっくりされることでしょう…。
出稼ぎに頼らざるを得ない現状

ネパールでは農業人口が一番多く、これといった産業がありません。色んな人と話した感触では、2軒に1軒は家族が外国に出稼ぎに行き、離れ離れの生活を送らざるをえないようです。
リスクの高いインディアン・アーミー

先日、ローカルバスで乗り合わせたご家族は、ご夫婦とも22,3才くらい。小さな赤ちゃんがいて仲睦まじい様子でした。「どちらに行かれますか?」と聞くと、ご主人はインドのカシミールに行く、これからインドの国境まで奥さんが赤ちゃんを連れて見送りに行くとか。
話を続けると、ご主人はインディアン・アーミーで任地はパキスタンとの国境、シリアのテロリストが活動している地域とか。

「危険なところじゃないですか」と言うと、
「そうですよ。明日、生きているかも分からない。ネパールは政府が若者に仕事を作ってくれないから、外国に行くしかないんだよ」と。
愛らしい奥さんと赤ちゃんとは、一年に2,3ヵ月お祭りの時期だけネパールに戻ってきて過ごすことができるとか。
思わず「そんな危険な仕事をしてひと月にいくらもらえるんですか?」と聞いてみた。
すると「1ヶ月7,8万ルピー、15年任期を終えたら200万ルピーもらえるけど」と。
現在、1ルピーは0.95円ほど。充分とも言えない金額で命がけの仕事をしていることに、こぴらはとても切なくなりました。でもネパールの女性は、そうした家族の事情をどっしり受け止めているようで、奥さんは終始笑顔でした。
No.1の出稼ぎ先 マレーシアの現実

でも、話してみると彼らの仕事も過酷でした。
セキュリティの仕事は、デイ勤務とナイト勤務の12時間勤務、2交代制。
日勤と夜勤の切り替えの日には24時間連続勤務。ほとんどの人は年に1日も休みがなく、5年勤めてようやく契約が終わるのだとか。中には17時間勤務休みなしなんて人にも会いました。
住居環境も良くなく、何十台ものベッドの並ぶ部屋で、日勤・夜勤混じって共同生活なんて部屋も普通です。マレーシアに住む友人が言うには、マレーシアに住むネパリの暮らしは人の暮らしではないと。
5年も休みなしに働き続けると、身体も精神もボロボロになりそうです…。
実際に、朝起きたら同室に住む同僚が過労死していたという話も聞きました。しかもマレーシアでのネパリの平均月給は4万円ほどとか。日本でもブラック企業が問題になっていますが、世界中人々の暮らしは厳しいですね…。
一方、欧米や日本でそれなりの額を稼いできた人は、ネパールではお金持ちです。10年~15年外国で働いたお金で大きな家を建てて、一階は貸し部屋にして家賃収入を得て、土地転がしをして、その後の暮らしを立てているようです。
現在、ネパールの海外送金の対GDP比率は32.3%。南アジアの中でも突出していて、出稼ぎに頼らざるをえない経済構造になっているようです。とはいえ出稼ぎに家族を送り出せるのは、比較的裕福な家庭。ネパールでも貧富の差は大きいです。いつかこんな状況が良くなる世の中が来てほしいものです。


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