ネパールの紅茶(チヤ)文化と、“幻のイラムティー”の特徴&お土産の買い方

今は亡き父との思い出はいろいろあるのですが、その一つが毎年初夏になると誇らしげに、紅茶の木箱をテーブルに置いて、

「今年もこれが手に入ったよ」と、微笑んでいたこと。

木箱の中味はダージリンティーのファーストフラッシュで、確か一箱5.000円だと言っていたように思う。そんなに紅茶通でもなかった父だけども、ファーストフラッシュの緑茶のような爽やかさが気に入っていたようです。

 

 

こぴらはそれ以来、紅茶も収穫時期によって、セカンドフラッシュ、オータムナムなど違いがあることを知り、紅茶の世界にはまっていったのでした。

ただ、“プチ贅沢”で紅茶のお取り寄せなどしていたわりには、ネパールで紅茶が生産されていたことは知りませんでした。

そうなんです!ネパールの紅茶はとてもレアで、その手の入りにくさからすると“幻の紅茶と呼ばれています

今回は、ネパールの紅茶がなぜ“幻の紅茶”なのか、そしてネパールに浸透する独特の紅茶文化についてリポートしてみたいと思います。

 

ネパール紅茶の歴史

ネパールの紅茶の茶畑は、ネパールの国土の東側にあります。おもな産地はメチ郡イラムで、その北のパンチタール郡、その西のダンクタ郡でも生産されています。〔赤いピンが立っているところがイラムです〕

イラムは標高1200メートルの高地で霧が発生するため、紅茶の栽培に適した地方。人口2万人が暮らす小さな町です。そして、地図を見るとわかるのですが、イラムはインドのダージリンに隣接しています。

 

イラムの紅茶のプランテーションは1863年に作られ、58の茶畑があり、年間生産量は2.500トン。おもにドイツやインドに輸出されています。

一方、ダージリンのプランテーションも同じ頃作られています。インドの紅茶栽培の歴史は、戦争と関係しています。もともとインドでは紅茶は作られていませんでした。アヘン戦争でインドを植民地にしたイギリスが、輸出用に茶畑を作り始めたのが始まりです。現在、ダージリンでは90の茶園があり、年間1万2,000トンの生産量をほこる大農園です。

 

産地 歴史 茶畑の数 年間生産量
イラム 1860年代~ 58 2,500トン
ダージリン 1860年代~ 90 12,000トン

 

 

輸出される高級茶葉と国内消費

先ほども述べたとおり、この紅茶の一大産地ダージリンと、ネパールのイラム地方は隣接しています。なのでイラムで作られたリーフティーも、インドに輸出されたあとに“ダージリンティー”として、輸出されていきます。これがイラムティーが“幻の紅茶”といわれる所以です。

ですから、イラムティーのクオリティは、ほぼ高級茶葉ダージリンのリーフティーと同等です。

私たちが日本で飲んでいるダージリンティーが、実はネパール産ということもあるかもしれません。

 

ところが、ネパールのポカラやカトマンズの紅茶専門店では、イラムティーはダージリンティーと区別して別々に売られています。こぴらも紅茶好きなので、両方買って飲み比べています。希少だからかイラムティーの方が少し値段も高いのですが、イラムティーは薫り高くて本当に美味しいです。

少しネットで調べてみましたが、最近は楽天、アマゾンなどの通販サイトでも、イラムティーが高級茶葉として売られています。

 

 

いっぽう、ネパール国内で消費されているのは、CTCといわれるチャイ用のダスト紅茶です。

インドでも、高級リーフティーはすべて輸出に回され、残ったダストを現地の人が飲んでいるのと同じですね…。

このダストにスパイスを加えて牛乳で煮出したものを、ネパールでは“チヤ”、インドでは“チャイ”、日本では“マサラティー”と言います。

こぴらはネパールに来る前からマサラティーも好んで飲んでいましたが、ネパールの濃い(脂肪分の高い)牛乳から作るチヤはとても美味しいです。

ダスト紅茶に牛乳とマサラ(スパイス)を加えて、美味しく栄養豊かなものに作り変えた、現地の人の知恵とたくましさは素晴らしいですね‼

 

ネパールのチヤ文化とチヤの入れ方

ネパールで暮らしていると、チヤ文化がほんとうに根付いていると実感します。

朝、近所の人にあいさつをすると、

「チヤ カヌバヨー?(チヤを飲みましたか?)」と、聞かれます。

そうです、ネパール人の朝はチヤから始まっているのです。

国民みんなが毎朝、そして昼下がりに飲む、国民的ドリンクがチヤなんです!

 

また、はじめてお会いした方でも、「チヤ カヌフンチャ?(チヤを飲みますか?)」と、もてなしてくださいます。

つましい暮らしをしている方でも、決して安くない牛乳をふんだんに使ってチヤを入れてくださることもしばしば。日本人が、忙しさと見知らぬ人への警戒心から忘れてしまった“もてなし”の精神が、ネパールには残っています。

温かいチヤを飲みながら、現地の人の温もりも感じる日々です。

 

さぁ、ここで美味しいチヤの入れ方をご紹介します。

材料 二人分

牛乳 300cc   、水 100cc 、CTC茶葉 ティースプーン3杯

お好みのスパイス{シナモン、クローブ、カルダモン、月桂樹の葉、黒胡椒、花山椒など}数種類を少量。粉でも、軽くつぶしたものでもOKです 

砂糖 小さじ2-3杯

スパイスミックス。

①牛乳と水を小鍋に入れ沸かします。

②沸騰する手前でCTC茶葉とスパイスを入れて、ごく弱火で吹きこぼれないよう15秒ほど煮立たせます。

③火を止めてそのまま3分ほど置き、再び軽く温めます。

④濾しながらカップに注いで、砂糖を加えます。

 

※チヤは砂糖を入れたほうが美味しくなります。甘いのが苦手な方も少量加えましょう。

 

ネパールで紅茶のお土産を買うには?

 

イラムティーを買いたい場合

カトマンズのタメルや、ポカラのレイクサイドの紅茶専門店で買いましょう。茶葉の香りを嗅がせてもらい、十分香りがあることを確認しましょう。こぴらは普段飲み用に、100gあたりRs.400-700ほどで買うことができましたが、もっと高級なグレードもあるかもしれません。

マサラティーを買いたい場合

町のスーパーマーケットなどで買いましょう。どこででも売られています。そして、売られているCTC茶葉にも粉のスパイスはミックスされていますが、さらに香りの良いマサラティーにしたいなら、ホールスパイスやチヤマサラも一緒に買うことをオススメします。

CTC茶葉は100グラムRs,80~100ほど。安価で手に入ります。

 

tea reaf in market
マサラティー用の茶葉 ミルクティーの絵が描かれています

チア(スパイスティー)におすすめのスパイスについてはこちらの記事をご覧ください。

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indian border

美味しいネパール紅茶のお取り寄せ

以前日本に住んでいたときにお世話になっていた、シルバーポットさんをおすすめします。

オーナーの若い女性が、インドやネパールの茶園を実際に回って買いつけています。

ネパールのイラム紅茶も試してもらいたいですし、個人的には比較的安価で深いコクのある“ダージリン・オータムナム”もおすすめです。もちろんマサラチャイも美味しいですよ。

美味しい紅茶を飲んで、暮らしのひとこまがより豊かになりますように。

 

 

 

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